生活関連産業

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 1859年に横浜・長崎・函館の三港で外国貿易が始まると、舶来の物品だけでなく海外の文化・服装・食生活が、急速に日本人の生活に浸透していく。明治維新後には、身分制度が廃止され、服装は自由となったため、たちまち紳士服への需要があらわれた。政府は、軍人や警察・郵便・鉄道などの官吏の制服を洋装と定め、これ以後、大量の制服を製造する工場が現れる。既製服産業の先駆である。

 食生活においては、米食を基本とするスタイルは、第2次大戦後においても変わらなかったが、砂糖・食用油・小麦粉の消費は明治期から上昇し、特に第2次大戦後にはめざましく増加した。この大量消費を支えたのが、製粉業や製油業などの食品産業である。

 製粉業や製油業は、江戸時代より在来産業として成立していたが、20世紀に入ってから機械化された大量生産型の食品工業として発達した。製粉業は、小麦粉輸入の増大に対抗するために、政府の保護を受けて急速に発展した。一方、製油業は、原料が多種であることと、中小の企業が根強く存在したため、大企業化は徐徐に進行した。代表的な大量生産型食用油は、菜種油と大豆油である。