技術と都市社会

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 技術・サービス・情報が集中・集積する場所、それが都市である。工業化と近代化が進めば、それに応じて都市化も進む。その過程で様々な都市問題が生まれてくる。この都市問題に対応するためにも、ハードな技術やソフトな技術が必要となる。

 明治維新以降、首都東京は種々の都市問題に直面してきた。まず、農村から大量の人びとが流入した。この流入人口の多くは貧民層であり、東京各所のスラム街がかれらの住居となった。

 また東京では、上下水道や電気などの都市の近代的インフラストラクチャーが不備で、住居も一般に貧弱な木造が多かったため、火災が多く、水系伝染病も幾度となく東京を襲った。

 しかし、20世紀に入ると、日本の工業化が進展をみせ、都市周辺に新しく形成された工場の労働者となる者が貧民層から多数現れ、スラム街から工場労働者街へと住居を移していく。また、上水道は政府の手で、電気・ガスは民営により整備されていった。ただし、政府による都市計画は不徹底であり、ことに住宅問題は戦後においても解決されたとは言い難い。

 都市の住民の間には、伝染病の蔓延や関東大震災のような災害をきっかけとして、住民同士の互助のための組織として町内会が形成されはじめた。本来自発的に形成された町内会であるが、戦時に公的性格の強いものに転化していったことに対する批判があることも指摘されねばならない。

 地方都市における都市化は、東京とは一律に論ずることはできない。特に、職人層が厚く、職人の居住地区が一種の地域組織を構成している場合は、その組織力に注目する必要がある。金沢で1918年に起こった米騒動の分析は、この点を重視したものである。